チョウチョとお月さま④
つぎの満月の夜に、ルンちゃんは、無事に脱皮ができました。するとこんどは、ぐんと大きくなりました。そして体の色も、茶色からあざやかな緑色にかわりました。頭には、すてきな角もかくし持っています。それをみていたお月さまが、「ルンちゃん、こんばんは。上手に脱皮ができたようね。おめでとう。」と微笑みながらいいました。
「ありがとう、お月さま。」とルンちゃんが、お礼をいったとき、ルンちゃんをめがけて、何かが飛んできました。それは、ルンちゃんを食べようとしてやってきた、すずめでした。
そのようすを見ていた木の妖精は、大きな声でさけびました。「ルンちゃん、あぶないっ!早く、あたまの角をのばして、くさい匂いを出して!」ルンちゃんは、あたまの角を、すぐにのばして、くさいにおいを出しました。すると、すずめは、おどろいて、遠くへ逃げていきました。
「ありがとう、木の妖精さん。わたし、もう少しで食べられてしまっていたわ。」ルンちゃんが、お礼をいうと、「ルンちゃんが、たすかってほんとうによかった。これからは、気をつけなくてはね。大きくなったのだから、ほかの小鳥や虫たちにも、見つからないようにしなくてはね。」と木の妖精は、やさしくいいました。それをみていた、お月さまも、「ルンちゃん、勇気を出して、よくがんばったね。満月のときは、いろんな動物や虫たちが興奮してるから、これからも注意しないとね。」とやさしく教えてくれました。ルンちゃんは、お月さまと木の妖精に、心から感謝をしました。
ある新月の夜、お月さまの声がきこえてきました。「こんばんは、ルンちゃん。すっかり立派な幼虫さんになったわね。もうそろそろ、蛹(さなぎ)になる準備をしなくてはね。」ルンちゃんは、「ありがとう、お月さま。これからその準備をするところなの。太い幹のしたで、だれにもみつからない場所をいま探しているの。それと、チョウチョになるときには、羽がかわくまで飛べないから、静かで、雨にあたらないところを探さなくてはならないの。」といいました。「もうすぐルンちゃんは、素敵なチョウチョになってお空をじゆうに飛べるのね。しっかりね、ルンちゃん!」お月さまは、うれしそうにいいました。